海外でも強い人ほど謙虚、剣道の精神性

京都は西陣に本店を構える武道具の製造販売「株式会社 東山堂」の木村真里子さんに剣道についてお話しを伺いに行きました!

早速ですが、木村さんはどのようなお仕事をなさっているのでしょうか?
株式会社 東山堂の広報担当です。

主な仕事は国内外の剣道の大会や、PR映像、イベントなどの企画。また、テレビや映画の撮影協力をしたりしています。
最近ではシャンパン関係の会社様のご依頼でシャンパンサーベルを刀で作りしました。やりたいことを形にしています。

シャンパンサーベルを刀で!?かっこいいですね。武道具の製造販売を事業とされていますが、主に剣道の道具を製造、販売されているのでしょうか?
東山堂は、居合道、剣道、薙刀などあらゆるものを扱っていますが、剣道からスタートしました。

日本では、剣道をやっている方は剣道、居合道をやっている方は居合道、といった感じでその世界ごとにご自身の美徳をお持ちなのですが、海外の方は、剣道も居合道も一つの日本文化、武道として捉えておられるので、剣道をされる方は居合道もされたり、居合道をしながら合気道もされたりします。

職人さんお手製の様々な胴が並ぶ。他ジャンルとのコラボレーションなど、常に新しい事へのチャレンジも忘れない。

なるほど、海外も考慮すると必然的に武道具全般を取り扱うようになるのですね。いつごろから販売されているんでしょうか?
東山堂は30年前に、DMを一通一通、海外の道場に送ることで海外通販からスタートしました。

元々は祖父が竹刀の製造をしていたのですが、3年に1度、剣道の世界選手権があって、たまたま父が通訳を頼まれた時に「日本は品質の良い道具が手に入りやすく、防具の修理もすぐに出来ていいね。」などと言った声を聞く機会があり、熱心に剣道をやられている海外の方々に、何か出来なることはないかなと思い海外事業をスタートしました。
日本には歴史のある防具屋さんは東山堂以外にもちろんありますが、海外の方々にとって一番の老舗は東山堂になりますね。

まさに世界の東山堂ですね。木村さんご自身も剣道をされているのでしょうか?
小学校2年生から剣道をやっています。

特に引退というものがないので休んでいた時期もありますが、今も続けています。弊社には最年少で七段を取得したものもおりますので紹介します。営業担当の林です。
※最年少で七段を取得された株式会社 東山堂 営業担当の林さん登場!(さらに八段は七段取得後、10年以上の修行を積んだ46歳以上が対象で合格率は1%前後だとか!)

いよいよ剣道の魅力、剣道の精神性に迫る。剣禅一如、平成の剣道やいかに!?

剣道の魅力とはどんなところですか?営業担当の林さんにお聞きします。
私にとって、剣道の魅力は稽古をしても答えが出ない事、技が決まっても結果は出るが、何故決まったかの答えは出ない。

今でも毎日、自分の剣道は進化していますし、自分で強くなっているのがわかるんです。
そういった事から、自分と真摯に向き合うことができるというのも剣道の魅力のひとつだと思います。

自分と向き合う。というところからやはり沢庵和尚の剣禅一如を連想するのですが、何か思われる事はありますか?
最後は勝ち負けでなく心。

剣道や柔道など様々な道があって、鍛錬されている方に稽古や試合の時に、何を大事にしているかを聞くと最後は勝ち負けでなく
心だとおっしゃいます。経験の長い方ほど強いとか弱いとかではないく、心を磨くことが大切だとおっしゃいます。
まさに終わりのない、極めることは出来ない道ですね。

木村さんはいかがでしょうか?
力でいうとスポーツであれば高校生や大学生が一番強かったりします。

剣道も力ではそうなんですが、力の使い方や竹刀の捌き方でいうと経験の長い90歳の方には到底かなわないのです。
死ぬまでできる。誰も先にいけないんです。そう思うと、とても深い世界なんです。

剣道の精神性について海外の選手はいかがでしょうか?文化の違いが出るような気もしますが。
海外でも強い人ほど謙虚です。決して強さをひけらかすことはありません。

試合で勝っても、勝ったということよりも、それまでに頑張ったことや剣道を通して学んだこと、出会ったことが自分にとって大事だとおっしゃいます。
それを初めて海外の選手から聞いた時は非常にピースフルな気持ちになりました。ただ叩き合いを楽しむことが目的であれば剣道でなくても良いです。
剣道は竹刀を刀と思って扱います。刀で一本を取るということは相手を殺すということです。
殺すにも礼儀があり「礼に始まり礼で終わる」が剣道です。

なるほど和敬ですね。ハーモニー&リスペクト。茶道でも大切にされる言葉です。では最後にこれからの剣道や武道、御社についてお聞かせください。
武道の「武」は戦うことではなく「矛を止める」と書きます。

東山堂のロゴは武道の「武(ほこどめ)」です。武道の「武」は戦うことではなく「矛を止める」と書きます。
利己的な心を抑え、戦いを収める。という大きな和の心なのです。
本来の武道の姿は戦いを収めるという意味があるんです。矛を収めるのが武道の武です。
そのことから東山堂の目的は、武道をする方々をサポートし、武道とその精神性を広めていくことが世界平和につながると思っています。

道というものの深さを知る。

剣道を続けていくうちに「勝ち負けではなく自分を鍛える事に意味がある。」とか、「これを通じて得た経験が自分を作っている。」といった言葉が自然と出てきます。
これは道というものの深さだと思います。
そういった部分が多くの方々に伝わり、平和に繋がって欲しい。というのが武具を扱っている東山堂の私たちの願いであり、剣道のこれからでもあります。

お忙しいところ貴重なお時間とお話を頂戴し、ありがとうございました。林さんの八段挑戦も応援しております!!

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